レーシックとは

レーシック (LASIK: Laser in Situ Keratomileusis ) とは角膜屈折矯正手術の一種で、目の表面の角膜にエキシマレーザーを照射し、角膜の曲率を変えることにより視力を矯正する手術である。

日本での歴史は、1998年にエキシマレーザー装置が医療器具として認可され、販売が許可されたことから始まっている。日本国内では、手術名称は「屈折矯正手術」と呼ばれている。

年々手術を受けている人は増加しているものの、視力矯正器具の眼鏡やコンタクトレンズに対し日本国内での認知度が低い。有名人がレーシック手術体験者となったという情報が本や雑誌で紹介されるのは、レーシック手術を受ける事が珍しいという事情がある。

現在のところ治療には保険が適用されず、自由診療である事から手術費用は診療所や医院によって幅がある。2007年(平成19年)末における世界での症例数は3200万件である。

イントラレース(レーザー)もしくは、マイクロケラトーム(カンナのような機械)で角膜の表面を薄くスライスし、フラップ(ふた状のもの)を作り、めくる。表出した角膜実質層にエキシマレーザーを照射し、角膜の一部を削る(蒸散させる)。その後、フラップを元の状態に戻し、フラップが自然に吸着する。角膜中央部が薄くなるため、角膜の曲率が下がり(凹レンズを用いたのと同じ効果)、近視が矯正される。 その他、乱視・遠視も矯正可能である。

手術の流れ

1. 1~3週間前よりコンタクトレンズ装用者は裸眼状態にする必要がある。
2. 検査は、散瞳検査で約1時間 適応検査に約10分、診察に約5分、相談および説明に約20分、そして手術待ち時間が付加される。瞳孔を目薬で開けさせ検査するため、検査状態後2~3時間は、瞳のレンズが開いた状態のため、まぶしく感じる。
3. 手術は15分程度。その後は手術直後の検査等に2~3時間掛かる。
4. 翌日検査、1週間後検査、1ヶ月後検査と合計3回程度通う必要がある。

レーシックのメリット

* 眼鏡やコンタクトレンズが不要になる。一生めがねとコンタクトが不要になるのでコストメリットもある。激しい運動がしやすくなるためスポーツ選手の術例が多い。また、就業にある程度の裸眼視力が必要な職業を目指す者が就職前に受けているケースがある。ただし、パイロットの資格はレーシックを受けた者には取得できず、鉄道運転士も会社によって内規でレーシックを認めない場合があるように、レーシックを受けることで逆に自分の望む進路が断たれることもあるので、就職のためにレーシックを受ける場合は事前に確認が必要である。なお、パイロットも鉄道運転士もかつてと違って現在では裸眼視力を問わない。裸眼視力が低くても一定度数以内の眼鏡などで矯正して視力が出れば就業は可能である。
* 以前に加入した生命保険などが適用されれば、手術費用がほぼ無料になるケースがある。ただし、最近加入した場合はほぼ認められない。
* 10万円以上の医療費の支払がある場合は、確定申告をすれば税金の還付が受けられる。

レーシックのリスクとデメリット、副作用など

社会的なデメリット

* 航空身体検査基準ではレーシックなどの屈折矯正手術の既往は不適合である。一方、度数が±8ディオプトリー以内ならば眼鏡やコンタクトレンズの使用は差し支えない。かなり強い近視でも眼鏡で視力が出れば飛行士になれるが、軽い近視でもレーシックで治してしまったら飛行士にはなれない[1]。第二種(自家用)免許ならばレーシックを受けていても夜間視力やコントラスト感度が大きく低下していない旨の診断書を添付して国土交通大臣に特例を申請すれば認められる可能性が残されているが、眼鏡による矯正ならば特例でなく通常に認められるので、レーシックを受けていることが飛行士への道の妨げになることには変わりない。
* ボクサーや警察官など激しい身体接触を伴う職業に現に就いている者やこれから就く者は、レーシックを受けて角膜が薄くなることで打撲による眼球破裂の危険が高まることを認識した上で、それでも構わないと自ら判断した場合のみ受けるべきである。
* 日本では公的医療保険の対象とならない。

身体的なリスク

* 失敗・術後合併症等のリスクが存在する。あらゆる手術にリスクは付き物だが、手術を受けなくてもメガネやコンタクトレンズで視力の出せる目に施すレーシックのリスクは、受けなくては治せない病気や怪我の手術のリスクとは同列に語れない。
* まだ歴史が浅いため、長期に渡る安全性が実証されていない。理論的に大丈夫だろうというだけで、実際に大丈夫だった例で確認されているわけではない。
* 角膜が薄くなるため強度が下がり、打撲などによって眼球が破裂する危険が高まる。
* 術後角膜に微細な傷痕が残る。他人から見る分には全く分からない傷痕だが、これにより次のような症状が出ることがある。
o 角膜の傷によって光線が撹乱され、網膜像のコントラストが低下する。視力検査は白地に黒い指標という最大限にコントラストの高い条件で行なわれるので網膜像のコントラストが多少低下しても視力の数字には影響しないが、日常生活では視力検査よりコントラストの低いものを見ることが多いので、本人の感じる「見やすさ」には影響する。
o 術後、一過的または継続的にハロ・グレアが出現する。
* レーシックによって得られる矯正視力は、メガネやコンタクトレンズによって得られていた矯正視力を下回ることはあっても上回ることはことは無い。表面上メガネやコンタクトレンズより良い視力が得られたように見える場合もあるが、それは手術前にメガネやコンタクトレンズの度数を抑え気味にして矯正視力をあえてあまり出していなかったことによる。レーシックを受けなくてもメガネやコンタクトレンズの度を強くすれば同じかそれ以上の視力が出せたはずである。メガネで視力が出にくいほど強い近視には、角膜を削る量が多くなりすぎるため、レーシックは適さない。
* フラップの作成により角膜中心部の知覚神経が切断されるため、ドライアイになることがある。切断された知覚神経が再生することはないが、自覚症状は慣れによってある程度解消する。
* 良い視力を求めて角膜を削り過ぎると遠視になり、これを再度修正することは困難である。軽度の遠視ならば視力は良好だが、近くが見にくくなることがある。この問題を回避するために矯正を控えめにすると今度は近視が残る可能性が高まる。
* 一日の中の時間帯や天候・高度によって視力が変動しやすくなる。角膜が薄くなる分変形しやすくなり、体調による眼圧の変化や、天候や高度による気圧の変化によって角膜がわずかに突出したり陥没したりするためである。
o 角膜が変形しやすくなる影響で、眼圧検査時に眼圧が実際よりも過小評価されるようになる。眼圧検査時はレーシックを受けたことを申告する必要がある。
* 夜間視力が、術前の眼鏡やコンタクトレンズによる矯正より低下することがある。角膜中心部の曲率しか変わらないので、夜間瞳孔が開くと角膜周辺部の術前と変わらぬ曲率をもつ部分を通った光線が網膜に到達するようになり、二重像を生じることがある。特に瞳孔の大きい者の症状が強い。現行の運転免許制度では夜間視力が低下しても免許を剥奪されることはないが、事実上夜間の運転が不可能になることがある。
* 白内障手術の際、眼内レンズの度数ずれをおこすことがある。
* フラップは時間の経過とともに安全な強度に近づくが、完全に元には戻らない。強い外圧がかかるとごくまれにフラップがずれる場合がある。このため格闘技の選手などには向かない。フラップを作らずに角膜上皮から削ることで屈曲率を矯正するPRKや、フラップを再生させることが出来るラセックと呼ばれる同種の手術もあるので、特にスポーツ選手はこちらを選ぶこともある。